
2025/06/26更新
介護士の年収は実際どのくらい?年齢や属性別に徹底解説
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実際に他の介護士ってどれくらいの年収なんだろう…
周りの友達とかの年収も全然わからないんだよね..確かに給与の話ってちょっとしづらいよね…
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高齢化が進む現代日本において、介護職はますます重要な役割を担っています。人々の暮らしと尊厳を支えるこの仕事には、大きなやりがいがありますが、その一方で「収入面はどうなのか?」という疑問や不安を抱く方も少なくありません。特に訪問介護員(ヘルパー)として働く場合、施設勤務との違いや、雇用形態による給与の差なども気になるところです。
本記事では、厚生労働省の最新調査データをもとに、介護職・訪問介護員の平均年収・月収・初任給・賞与額など、お金に関する実態を徹底的に解説します。これから介護職に就こうと考えている方や、転職・キャリアアップを目指す現役の介護士の方にとって、リアルな給与事情を把握するための一助となれば幸いです。
目次
1. 介護職/訪問介護員(ヘルパー)の平均給料|平均年収・平均月収は?
介護職は人の暮らしを支える重要な仕事ですが、「実際の収入はどれくらいなのか?」という点が気になる方も多いのではないでしょうか。特に、介護職や訪問介護員(ヘルパー)として働く場合、平均年収や月収、基本給や賞与(ボーナス)の金額には幅があり、勤務先や雇用形態によっても差が生じます。
ここでは、厚生労働省の調査データなど公的な統計をもとに、介護職・訪問介護員の平均年収・月収・初任給・賞与など、気になるお金事情をわかりやすく解説します。これから介護職に就こうと考えている方はもちろん、キャリアや働き方を見直したい現役の介護士の方にとっても、今後の参考になる情報を整理しています。
介護士の平均年収は約362.9万円
介護士の平均年収は、厚生労働省が発表した「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、月給ベースで約32万8,720円となっています。この金額を12カ月分に換算すると、年収はおよそ394万円ほど。単純計算ではありますが、平均的な介護士の年収は約400万円前後と見てよいでしょう。
なお、厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(p.126)によると、勤務形態別に見た場合の年収は以下の通りです。常勤の介護職員は、基本給が19万2,660円、月収が約33万8,200円、年間ではおよそ405万8,400円。非常勤職員では、基本給が12万9,350円、月収は19万6,060円、年収は約235万2,720円となっています。月収には、手当や一時金(4〜9月支給額の1/6)が含まれており、これをもとに年収は「月収×12」で算出されています。
また、令和5年の賃金構造基本統計調査に基づく分析では、訪問介護員と施設勤務者で年収に差が見られます。正社員の場合、男性のほうが女性より年収が高い傾向にあり、訪問介護の方が施設勤務よりも年間で20万円ほど高くなる結果が出ています。パートやアルバイトでは、月収と同様に施設勤務の方が若干高水準という傾向も確認されています。
一方、別資料では、介護福祉士の給与水準は正職員で月収25〜35万円、年収で350〜450万円がボリュームゾーンとの見方もあります。手取りベースに換算すると月18〜25万円ほどが一般的です。具体的に、令和4年度の調査結果では、平均月収が33万1,080円となっており、これをもとに計算された年収は約397万円、手取り月収は約26万4,864円と見積もられています。前年度と比較すると、平均月収は2,360円上昇しており、年間で2万8,320円の収入増につながっています。
ただし、これらのデータはあくまで平均値であり、勤務する施設の規模や地域、役職の有無、雇用形態によって収入には大きな差が出ることにも注意が必要です。
介護士の平均月収は約25.6万円
介護職の平均月収は、おおむね25.6万円と報告されています。これは各種手当や一時金を含んだ額であり、地域や施設形態、雇用形態によって若干の差異が生じます。なお、この月収から税金や保険料が差し引かれるため、実際の手取り額は18万〜20万円程度になるのが一般的です。概ね、月収の7割から8割が手取りとして受け取れる水準と考えてよいでしょう。
また、実際に現場で働く介護職員の月々の手取りについての調査では、正社員であっても「15万〜20万円未満」が最も多く、次いで「20万〜25万円未満」が続いています。この2つのゾーンで全体の約8割を占めており、実感としても25万円に満たない手取りで勤務しているケースが大半であることがわかります。
性別や職種によっても月収の差は見られます。厚生労働省の「令和5年 賃金構造基本統計調査」では、施設に勤務する正規職員のうち、男性の平均月収は28万2,400円、女性は25万2,600円とされています。約3万円の差がある一方で、訪問介護の職種では男女ともに施設勤務よりも高水準の月収が報告されており、職種間でも差が見られる状況です。
また、パートやアルバイトなど非常勤の場合、男女差は正職員に比べて小さいものの、依然として施設勤務者の方がやや高めの水準である傾向が見られます。雇用形態や勤務先によって賃金条件が大きく異なる点は、今後のキャリア形成を考える上でも押さえておきたいポイントといえるでしょう。
介護士の基本給やボーナス額は?
介護職として働く方の基本給は、平均すると月額で約18万6,000円程度とされています。ただし、この金額は全国的な統計に基づく目安であり、実際の給与水準は、勤務先の施設種別や所在地、保持資格、役職の有無などによって大きく異なります。そのため、あくまで一般的な参考値として把握しておくとよいでしょう。
賞与(ボーナス)に関しては、年間を通じて約52万9,000円ほどが支給されているケースが多く見られます。実際の支給タイミングとしては、夏季と冬季の年2回に分けて支給されるのが一般的です。夏季分は10万円〜20万円未満、冬季分は20万円〜30万円未満という支給レンジがそれぞれ最多となっており、年間トータルで30万円〜50万円前後の賞与を受け取る方が比較的多いようです。
厚生労働省の調査データでは、正職員の年間賞与額は、施設勤務と訪問介護員いずれにおいても、男性の方が女性より8万〜11万円ほど高い水準であることが示されています。一方、パートやアルバイトにおいては、施設勤務に限っては女性の賞与額が男性をやや上回る傾向が見られます。
また、雇用形態別で見ると、正職員の給与は訪問介護のほうが施設勤務よりもやや高めとなっており、パート・アルバイトの場合は、労働時間の影響もあり施設勤務の方が年収・月収ともに上回るケースが多く見られます。
このように、基本給やボーナスの額には一定の傾向があるものの、実際の給与水準は個々の勤務条件やライフスタイルに大きく左右される点に留意が必要です。
介護士の初任給はいくら?
介護職の初任給については、統一された明確な統計は公表されていないのが実情です。ただし、参考として利用できるデータとして、厚生労働省が実施する「令和4年賃金構造基本統計調査」では、実務経験がない(経験年数0年)の介護職員における平均的な月収が約21万1,000円と示されています。性別ごとに見ると、男性は21万8,000円前後、女性はおよそ20万7,000円程度と、1万円ほどの差が見受けられます。
さらに、政府統計ポータルサイト「e-Stat」に掲載されている「職種別・年齢別・経験年数別の給与額」によると、経験年数0年の介護職員の所定内給与(基本給)は、2024年時点で平均21万8,800円となっています。この金額はあくまで基本給に限ったものであり、賞与や諸手当を含まないベースの数値ですが、「初任給」に相当する目安として把握することができます。
こうした数値から判断すると、介護職の初任給はおおよそ月額21万円前後が一般的なラインであるといえるでしょう。もっとも、実際の金額は地域や施設の規模、勤務形態、雇用契約内容によって前後するため、応募前にはしっかりと条件を確認することが大切です。
2. 性別別、介護士の平均給料
介護職の給与は、年齢や経験だけでなく、性別によっても一定の違いが見られます。厚生労働省の統計調査によると、男性と女性とで月収や年収、賞与の金額に差が出る傾向があり、雇用形態や手当の有無などがその要因とされています。
ここでは、男女それぞれの平均給与について、最新の公的調査データをもとに詳しく紹介します。男性・女性それぞれの給与の実情を把握することで、今後のキャリア形成や職場選びの参考にしてみてください。
男性介護士の平均給料
介護職においては、性別ごとに給与水準にやや違いが見られます。特に男性介護士は、女性よりも年収・月収・賞与のいずれもやや高めの傾向があります。
厚生労働省が実施した「令和4年賃金構造基本統計調査」(企業規模計10人以上)によると、男性介護士の平均年齢は41.3歳、勤続年数は約7.8年で、月収は約27.4万円、年間賞与は約61.7万円、年収換算では約390.5万円という水準でした。女性介護士と比較しても、いずれの金額もやや高めであることがわかります。
この背景としては、男性介護士の方が正職員としての勤務率が高く、また住宅手当や扶養手当などの各種手当を受け取るケースが多いことが挙げられます。これにより、総収入に差が出る傾向があるのです。
さらに、「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(p.167)では、男性介護職の給与水準を年齢別に次のように示しています。
年齢階級 | 平均給与(月額) | 年収の目安(×12か月) |
29歳以下 | 約31万6,190円 | 約379万4,280円 |
30~39歳 | 約35万6,290円 | 約427万5,480円 |
40~49歳 | 約37万7,200円 | 約452万6,400円 |
50~59歳 | 約36万1,960円 | 約434万3,520円 |
60歳以上 | 約30万7,140円 | 約368万5,680円 |
このように、年齢とともに給与は上昇する傾向があるものの、50代をピークにやや減少する傾向も見受けられます。全体としては、男性介護士の年収はおおむね370万円〜450万円台が多いボリュームゾーンといえるでしょう。
ただし、これらはあくまで平均値であり、実際には勤務する事業所の規模や地域、役職の有無、夜勤の有無などによって金額は大きく異なることを忘れないようにしましょう。
女性介護士の平均給料
介護職における給与水準は、男女間で一定の差が見られます。女性介護士の平均的な収入について、厚生労働省が公表した「令和4年賃金構造基本統計調査」(企業規模計10人以上)では、以下のような数値が示されています。
- 平均年齢:45.8歳
- 平均勤続年数:7.9年
- 月収の平均:約24万9,000円
- 年間賞与額:約49万6,000円
- 年間の総支給額(年収):約347万8,000円
このデータからは、女性介護士の多くが月収25万円未満の水準で働いていることがうかがえます。また、男性に比べて収入がやや抑えられている傾向が見られます。
さらに、より詳細な給与動向は「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(p.167)にも記載があるように、女性介護士の年齢別の平均給与は以下の通りです。
年齢階級 | 月給平均 | 年収目安(月給×12) |
29歳以下 | 約30万5,560円 | 約366万6,720円 |
30〜39歳 | 約32万8,020円 | 約393万6,240円 |
40〜49歳 | 約33万6,780円 | 約404万1,360円 |
50〜59歳 | 約33万8,220円 | 約405万8,640円 |
60歳以上 | 約31万760円 | 約372万9,120円 |
一般的に、経験年数の増加とともに給与額も上昇する傾向がありますが、60歳以降は月給がやや下がる傾向が見られます。これには、体力的な理由から夜勤の機会が減少することや、定年後に非正規雇用として再雇用されることが影響していると考えられます。
3. 【施設形態別】介護士の平均給料
常勤の平均年収・平均月収
介護職の給与は、勤務先となる施設の種類によっても大きく異なります。厚生労働省が公表した「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、夜勤を伴う施設に勤める常勤職員の給与水準は、全体的に高い傾向が見られます。
たとえば、介護老人福祉施設(いわゆる特養)で働く常勤の介護職員の月収は約34万8,040円、介護老人保健施設では33万9,040円とされており、これらは年間に換算すると400万円を超える収入になります。夜勤手当や各種加算が含まれていることが、高めの給与に反映されていると考えられます。
一方で、日中のサービスが中心となる通所介護事業所では月収が27万5,620円、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)では29万1,080円と、比較的控えめな水準にとどまっています。これらの施設では夜勤の有無や人員体制などの違いが給与に影響を与えているようです。
下記は、施設別に見た平均給与(月収・年収)の一覧です。
施設形態 | 平均月収 | 年収の目安 |
全体平均 | 約31万7,540円 | 約381万円 |
介護老人福祉施設(特養) | 約34万8,040円 | 約418万円 |
介護老人保健施設 | 約33万9,040円 | 約407万円 |
訪問介護事業所 | 約31万5,170円 | 約378万円 |
通所介護事業所 | 約27万5,620円 | 約331万円 |
特定施設入居者生活介護事業所 | 約31万3,920円 | 約376万円 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 約29万1,080円 | 約349万円 |
なお、これらの平均月収には基本給に加え、各種手当および年間支給された一時金(月割計算)が含まれています。一時金に関しては、令和4年分については介護職員処遇改善支援補助金によるベースアップ等支給分(2〜3月分)は除外されています。
このように、勤務する施設の形態によって給与水準が大きく変わるため、転職や就職の際は施設ごとの傾向を把握しておくことが重要です。
パート・アルバイトの時給
非常勤(パート・アルバイト)として勤務する介護職員の時給は、従事する施設の種類によってばらつきがあります。厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、入所系の施設である介護老人福祉施設(特養)や介護老人保健施設、有料老人ホームなどでは、時給が1,050円を超える傾向にあります。こうした施設では、日常的に高い介護度の利用者と関わることが多く、介護の専門的な知識やスキルが求められるため、相応の賃金が設定されています。
中でも訪問介護事業所での勤務は、時給が最も高く、平均で1,290円に達しています。この業態では、基本的に職員が単独で訪問しサービスを提供する形式であるため、一定以上の資格(初任者研修修了など)が求められ、業務全般において自立性と経験が重視されます。そのため、他の施設形態と比べて高い時給水準となっているのが特徴です。
一方で、通所介護事業所では時給が1,040円、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では1,010円と、全体平均よりやや低い水準にとどまっています。これは、夜勤の有無や業務負担の違い、利用者の介護度の平均的な傾向が影響していると考えられます。
以下は、施設ごとの非常勤職員の平均的な時給をまとめた一覧です。
施設形態 | 平均時給(非常勤) |
全体平均 | 1,130円 |
介護老人福祉施設(特養) | 1,060円 |
介護老人保健施設 | 1,050円 |
訪問介護事業所 | 1,290円 |
通所介護事業所 | 1,040円 |
特定施設入居者生活介護事業所 | 1,070円 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 1,010円 |
なお、これらの時給は「減金給与額」に基づいて算出されたものです。時給以外の手当や一時金は含まれていないため、収入全体を把握する際には別途確認が必要です。また、令和4年に支給された介護職員処遇改善支援補助金(2〜3月分のベースアップ分)については、一時金計算から除外されています。
このように、施設形態ごとの業務内容や求められるスキルによって、非常勤職員の時給にも明確な差が生じている点は注目すべきポイントです。
4. 勤続年数別、介護士の平均給料
介護士の給与水準は、勤続年数によって徐々に上昇していく傾向が見られます。厚生労働省が公表した「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、勤務年数が長くなるほど、平均的な基本給が高まっていることが明らかになっています。
調査データによれば、勤続1年目の平均基本給は約17万4,290円、20年以上勤務している職員では21万9,630円となっており、勤続年数20年以上の層が最も高い給与水準となっています。以下に、勤続年数ごとの平均基本給および関連情報をまとめた一覧を掲載します。
勤続年数 | 平均年齢 | 実労働時間数 | 平均基本給額 |
1年目 | 38.7歳 | 164.1時間 | 174,290円 |
2年目 | 40.4歳 | 164.0時間 | 175,680円 |
3年目 | 42.1歳 | 163.9時間 | 175,960円 |
4年目 | 42.9歳 | 164.8時間 | 176,880円 |
5年目 | 43.7歳 | 163.7時間 | 181,630円 |
10年目 | 46.4歳 | 164.6時間 | 187,530円 |
15年目 | 46.9歳 | 161.7時間 | 193,540円 |
20年以上 | 50.7歳 | 161.8時間 | 219,630円 |
この表からも読み取れるように、初年度から3年目までは基本給の伸びは比較的穏やかですが、5年目以降は昇給の幅が大きくなる傾向が見て取れます。これは、業務の熟練度が増し、責任のあるポジションや役割を担うことが影響していると考えられます。
また、実労働時間については大きな変動は見られませんが、年数を重ねるごとに平均年齢が上昇し、給与水準の向上にともなって安定したキャリアパスが形成されている様子もうかがえます。
これらのデータから、介護職における給与は継続的な勤務により着実に上昇していく職種であることがわかります。将来的な昇給や処遇改善を見据えて、長期的な就労を目指す意義は大きいといえるでしょう。
5. 【資格別】介護士の平均給料
介護職の給与は、保有している資格の種類によって明確な差が出る傾向があります。厚生労働省が公表した「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」や「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、資格の有無やその内容によって月給・年収ともに大きな違いが見られます。
たとえば、介護福祉士の月収は約33万1,080円で、年収に換算するとおよそ397万円。一方、資格を持っていない方の月収は約26万8,680円とされており、その差はおよそ6万円に達します。これは年間にすると70万円以上の開きになる計算です。
以下は、代表的な資格ごとの平均給与です。
保有資格 | 月収の目安 | 年収の目安(×12か月) |
無資格 | 約29万620円 | 約348万7,440円 |
初任者研修 | 約32万4,830円 | 約389万7,960円 |
実務者研修 | 約32万7,260円 | 約392万7,120円 |
介護福祉士 | 約35万50円 | 約420万600円 |
介護支援専門員(ケアマネジャー) | 約38万8,080円 | 約465万6,960円 |
社会福祉士 | 約39万7,620円 | 約477万1,440円 |
上記のように、より高度な専門資格を有するほど給与水準は高まる傾向が明らかです。特に社会福祉士やケアマネジャーなどは、業務の専門性や責任の重さが評価され、他の介護関連資格と比較しても高収入の傾向にあります。
また、資格取得のステップアップによる収入増加も注目すべきポイントです。たとえば、無資格から初任者研修を修了すると、月収が約3万円上がるという試算もあり、年収で約36万円の差が生じることになります。こうした違いは、キャリアアップや収入向上を目指す上で非常に重要な判断材料になるでしょう。
このように、介護職として安定した収入を得るには、継続的なスキル向上と資格取得が大きな鍵を握っています。
6. 介護士の給料が低い・安すぎると言われる理由
介護士の給与は一般的に「低い」「安すぎる」と言われることが多く、業界の大きな課題となっています。なぜ介護職の賃金はなかなか上がらないのか、その背景には制度的な制約や事業所の経営事情、さらには社会的な評価の問題など、さまざまな要因が絡み合っています。
以下では、介護士の給料が低いとされる主な理由を詳しく解説していきます。
介護保険制度によって報酬に上限が決められている
介護職の賃金が上がりにくい背景には、介護保険制度における「介護報酬」の仕組みが大きく関係しています。介護報酬とは、介護サービスを提供した際に、事業所へ支払われる報酬のことを指しますが、この金額は国が定める単位によって厳格に上限が設けられているのです。
つまり、事業者側が自由に価格設定できるわけではなく、報酬額に制限がある中で運営や人件費をまかなう必要があります。結果として、事業所が得られる利益には限りがあり、人件費に十分な予算を充てにくい状況が生まれているのです。
このような制度設計のもとでは、どれだけサービスの質を高めても、収入を増やすには限界があるのが現実です。こうした構造が、介護士の賃金が低い要因のひとつとされています。
赤字経営の事業所や介護施設も多い
現在、経営が厳しい状況にある介護施設や事業所が少なくありません。物価の上昇による運営コストの増加や、感染症の流行に伴う一時的な営業停止といった影響が、事業所の財政を圧迫しています。
また、介護施設では提供するサービス内容ごとに法令で定められた人員配置基準が存在しており、必要な職員数を確保することが義務付けられています。このため、たとえ収支が悪化しても簡単に人員を削減することができず、人件費の見直しも難しいのが実情です。
こうした状況下では、限られた予算の中で日々の運営を行わざるを得ず、職員の賃上げに踏み切れない施設も多く存在するのが現状です。
介護士の専門性が評価されていない
介護職の給与が十分とは言えない背景には、専門性に対する社会的な評価の低さが影響していると考えられます。介護の現場では、特別な資格がなくても従事できる業務が一定数存在することから、「誰でもできる仕事」という誤解が生まれやすい傾向があります。
その結果として、専門的な知識や技術が求められる場面であっても、実際の業務内容が正当に評価されにくい状況が続いています。現場で積み上げられた経験や判断力は、ケアの質を左右する重要なスキルであるにもかかわらず、それが給与に反映されにくいのが現実です。
国としても、処遇改善加算などの支援制度を通じて介護職の収入向上を図っていますが、それでもなお、全体的な賃金水準には改善の余地があります。今後、介護士という職業の専門性がより広く認知され、評価基準が明確に整備されていくことが、賃金改善への大きな鍵となるでしょう。
安い給料でも人員が集まるため
介護職の求人には、「未経験OK」「無資格でも可」といった文言が多く見られます。こうした特徴から、他業種と比べて応募のハードルが低く、採用間口が広くなっていることが一因となり、比較的低賃金であっても人材が一定数確保できてしまう状況があります。
その結果として、事業者側から見れば、給与水準を上げてまで採用条件を改善する必要性が感じにくくなるため、待遇の改善が後回しにされてしまうケースもあるようです。
このような構造が続く限り、介護職の給与が大きく引き上げられることは難しく、長期的にも収入面の課題が残りやすい業界特性になっていると言えるでしょう。
非正規雇用の介護士が多いため
介護士の平均給与が伸び悩んでいる要因のひとつに、パートやアルバイトといった非正規雇用で働く人が多いことが挙げられます。実際、公益財団法人が実施した調査によれば、全体の約47.7%が非正規雇用という結果が出ています。
こうした雇用形態の違いは、給与や昇給制度、福利厚生といった待遇面に直接影響を与えることが多く、正規職員と比べて収入水準が低くなりやすい傾向にあります。そのため、業界全体としての平均給与額も上昇しづらい構造になっているといえるでしょう。
また、非正規であるがゆえにキャリアパスや給与体系が明確に整備されていない職場も少なくなく、結果として待遇面に課題が残ることも少なくありません。
(参照:公益財団法人介護労働安定センター「事業所における介護労働実態調査結果報告書」)
勤続年数が他の職業と比べて短いため
介護士の給与が上がりにくい理由の一つとして、他の職業と比べて勤続年数が短い傾向にあることが挙げられます。政府統計の総合窓口(e-Stat)によると、全産業における平均勤続年数は12.4年であるのに対し、介護職員は平均8.5年、ケアマネジャーでも11.4年と、全体より短いことがわかります。
一般に、勤続年数が長くなるほど昇給や役職手当がつきやすくなるため、在職期間の短さは賃金の伸びに影響しやすいといえるでしょう。介護職の場合、体力面や職場環境などの理由から転職や退職に至るケースも少なくないため、結果として平均給与が低く見えてしまう構造になっているのかもしれません。
(出典:政府統計の総合窓口e-Stat「令和6年賃金構造統計調査 概況」「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)表番号1」2025年4月11日)
7. まとめ
- 介護職(訪問介護員)の平均年収は約381万円(正社員の場合)
- 月収の平均は約26.2万円、ボーナスは年間約67.4万円
- パート・アルバイトの平均時給は約1,260円
- 任給は高卒で約21.1万円、大卒で約22.3万円
- 男性より女性の割合が多く、賃金にも差がある
- 年齢や勤続年数によって収入が変動する
- 訪問介護員は勤務時間が短くなる傾向があり、収入も少なめ
- 処遇改善や補助制度により、今後は給与の改善が期待される
介護職・訪問介護員の平均年収は約381万円で、月収やボーナスにも差があります。パートでは時給1,260円程度が相場で、学歴や性別、勤続年数によっても収入に違いが出ます。訪問介護は勤務時間が短めで収入がやや低くなりがちですが、処遇改善制度などにより、今後の給与向上も期待されています。