
2025/06/26更新
介護士の離職率:本当に高いの?真実を徹底分析!
※プロモーションを含みます
介護士って離職率が高いって聞くけど、それって本当なのかな??
そうだよね、よく聞くことだよね。
実際のデータを見てみて、本当に離職率が高いのか調べてみようか!!
「介護職は離職率が高い」――そんなイメージを抱いていませんか?
体力的・精神的な負担が大きい、慢性的な人手不足、低賃金……。こうしたマイナスの印象から、介護の仕事は“長く続けられない職業”という先入観を持たれがちです。しかし、実際のデータを見てみると、こうしたイメージとは異なる実態が浮かび上がります。
この記事では、最新の統計データをもとに、介護職の離職率の現状を詳しく解説します。他産業との比較や、離職率の推移、改善の背景、職場ごとの傾向などを多角的に分析し、「介護職の本当の姿」に迫ります。
目次
1. 介護職の離職率は本当に高いのか?
「介護職は離職率が高い」という印象を持つ方は少なくありません。体力的・精神的にハードな現場であることや、人手不足が叫ばれる業界背景もあり、「長く働き続けるのが難しい」といったイメージが先行しているのが現状です。
しかし、実際の統計データを見ると、そのイメージと現実にはギャップがあることが分かります。介護職の離職率は本当に高いのか?最新の調査結果や他産業との比較をもとに、客観的なデータから実態を紐解いていきましょう。
介護職の離職率の現状
介護労働安定センターが公表した「令和5年度 介護労働実態調査結果(事業所調査・p.22)」によれば、訪問介護員と施設介護職員をあわせた介護職全体の離職率は13.1%となっています。これは、同センターが調査を始めた2007年以降で最も低い水準です。
一方、厚生労働省の「令和5年 雇用動向調査結果の概況」によると、全産業における離職率は15.4%。調査母体が異なるため単純比較は避けるべきですが、数字だけを見れば介護職の方が全体平均よりも低い離職率となっています。
「介護職=離職率が高い」というイメージを持たれることも多い中、実際の数値はそれとは異なる傾向にあることがわかります。ここでは、さらに詳しく離職率を男女・年齢・施設種別・法人形態・事業規模といった観点から分析していきます。
全産業平均との比較
「介護職=離職率が高い」という印象を持つ人も少なくありませんが、実際のデータはこのイメージと異なる結果を示しています。
厚生労働省の「令和5年 雇用動向調査(図3-1 産業別入職率・離職率)」によれば、介護職が含まれる「医療・福祉」分野の離職率は13.3%となっており、全産業の平均(15.4%)を下回っています。離職率が最も高かったのは「生活関連サービス業・娯楽業」の20.8%で、それに続くのが「サービス業」(19.3%)、「宿泊業・飲食サービス業」(18.2%)といった業界です。
また、介護労働安定センターが実施した「令和5年度介護労働実態調査」によると、介護職(介護職員と訪問介護員を含む)の離職率は13.1%。2007年以降で最も低い数値であり、過去5年間の平均でも14.4%と、全産業平均(約14.8%)より若干低い水準にとどまっています。
このように、介護業界の離職率は決して特別高いわけではなく、他産業と比較しても相対的に低めであることが分かります。
2. 介護職の離職率推移(過去10年)
「介護職は離職率が高い」というイメージが根強くありますが、近年の実態はどうなのでしょうか。介護職を取り巻く環境は、この10年で大きく変化してきました。人材定着のための政策的な支援や、現場の改善に向けた取り組みが進んだ結果、離職率にも変化が見られます。
ここでは、2013年から2023年までの離職率の推移を具体的な数値で確認するとともに、離職率が改善傾向にある背景についても詳しく掘り下げていきます。
離職率の年次推移データ(2013年〜2023年)
介護職における離職率は、長期的に見ると着実に減少傾向をたどっています。以下は、2014年度から2023年度までの10年間にわたる介護職の離職率の推移をまとめたものです。
年度と離職率
- 2014年度 16.5%
- 2015年度 16.5%
- 2016年度 16.7%
- 2017年度 16.2%
- 2018年度 15.4%
- 2019年度 15.4%
- 2020年度 14.9%
- 2021年度 14.3%
- 2022年度 14.4%
- 2023年度 13.1%
出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査結果(事業所調査 p.25~26)」、および「平成30年度介護労働実態調査(事業所調査 p.44)」
2014年度時点で16.5%だった離職率は、10年で3.4ポイント低下し、2023年度には13.1%まで下がっています。現場定着に向けた政策的な取り組みや職場改善の努力が一定の成果を上げていることが、この数字から読み取れます。今後もさらに改善が進む可能性があると考えられます。
離職率が改善傾向にある背景
「令和5年度 介護労働実態調査」によれば、離職率が下がったとする事業所がその背景として最も多く挙げたのは「職場内の人間関係の改善」で、全体の63.6%に達しています。以下は、そのほかに離職率の改善に寄与したとされる主な要因です。
■介護職の離職率が改善したとされる要素
- 第1位:職場の人間関係が良好になった(63.6%)
- 第2位:残業削減や有休取得の促進、勤務シフトの見直し(45.6%)
- 第3位:職員間で介護の質に対する意識を共有できた(37.8%)
- 第4位:給与水準が引き上げられた(36.3%)
- 第5位:育児や家族介護との両立支援制度が整備された(36.1%)
出典:介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」
また、早期離職を抑え、職員の定着率を高めるために効果があったとされる具体的な取り組みとしては、以下のような内容が挙がっています。
■離職防止・定着向上に効果的だった施策
- 第1位:勤務日や勤務時間の希望への柔軟な対応(52.5%)
- 第2位:残業削減やシフトの見直し、有休取得の働きかけ(44.8%)
- 第3位:給与面での改善(44.4%)
- 第4位:育児・介護と仕事の両立を支える制度活用の促進(43.6%)
- 第5位:託児所の設置や保育料支援など、独自の子育て支援施策(42.1%)
出典:介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」
このように、介護職の離職率が低下している背景には、現場の雰囲気の改善や、労働時間・待遇・家庭との両立に対する配慮が進められていることが挙げられます。すべての職場でこれらが実現されているわけではないものの、働きやすさを重視する施設が増えていることが、離職率の緩やかな改善につながっているといえるでしょう。
3. 属性別の介護職離職率データ
介護職の離職率は、一口に「高い」「低い」と言っても、性別や年齢、勤務先の施設形態や法人格、さらには事業規模によって異なる傾向が見られます。ここでは最新の調査データをもとに、これらの属性ごとに離職率の実態を詳しく解説します。各属性の特徴を理解することで、職場選びやキャリア形成に役立つ情報として活用できるでしょう。
男女別の離職率
介護労働安定センターが発表した「令和5年度 介護労働実態調査(事業所調査・p.23)」のデータによると、介護職における男性の離職率は13.5%、女性は12.8%となっています。職種別に見ると、訪問介護員では男性が13.6%、女性が11.0%、施設介護職員では男性13.5%、女性13.6%という結果でした。
このように、最も離職率が低いのは女性の訪問介護員で、最も高いのは男性の訪問介護員という傾向が見られます。ただし、いずれの属性も10%台前半におさまっており、男女間で極端な差があるわけではありません。性別によって若干の違いはあるものの、大きな乖離は見られない点が特徴といえるでしょう。
年齢別の離職率
同じく「令和5年度 介護労働実態調査(事業所調査・p.23)」では、介護職員の年齢層ごとの離職率についても明らかにされています。最も離職率が高かったのは29歳以下で、その割合は20.4%にのぼります。以下、30代(30〜39歳)が12.7%、40代(40〜49歳)が11.8%と続きます。
年齢が若いほど離職率が高く、年齢の上昇にともなって徐々に低下していく傾向が見られます。このことから、若年層の職員は転職や退職を選ぶ割合が高く、ミドル層以降は職場に定着しやすいと考えられます。
施設形態別(特養・老健・有料など)
介護職の離職率は、施設の種類によっても差が見られます。公益財団法人 介護労働安定センターが公表した「令和5年度 介護労働実態調査:資料編(p.54)」には、施設形態ごとの離職率が示されています。
施設形態と離職率
- 居宅介護支援 11.1%
- 介護老人保健施設(老健) 11.8%
- 介護老人福祉施設(特養) 11.9%
- 訪問介護 12.1%
- 小規模多機能型居宅介護 12.1%
- 通所介護(デイサービス) 13.4%
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 16.0%
- 特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど) 17.8%
出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査:資料編(p.54)」
もっとも離職率が高かったのは、有料老人ホームなどに該当する「特定施設入居者生活介護」で17.8%。次いで「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」が16.0%、続いて「通所介護(デイサービス)」が13.4%となっています。
一方、離職率が最も低いのは「居宅介護支援」の11.1%であり、「老健(11.8%)」「特養(11.9%)」も比較的低水準に収まっています。
こうした数値は、あくまで集計された全体傾向であり、個々の施設の状況によって異なることを念頭に置く必要があります。職場選びの際の参考情報として活用するのがよいでしょう。
法人格別(社会福祉法人、営利法人など)
介護施設の運営主体である法人の種類によっても、離職率に違いが見られます。
公益財団法人 介護労働安定センターが実施した「令和5年度 介護労働実態調査(p.24)」では、法人格ごとの離職率が公表されています。
その中で、最も離職率が高かったのは民間企業で15.0%。次いで社会福祉法人が12.1%、医療法人は12.0%という結果でした。
民間企業は他の法人格に比べてやや高い離職率を示しており、運営体制や職場環境が離職に影響を与えている可能性がうかがえます。とはいえ、いずれの法人格でも一定の差はあるものの、大きくかけ離れているわけではなく、個別の施設による違いも考慮することが重要です。
事業規模別(従業員数)
公益財団法人 介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査(p.24)」によると、事業所の規模によって離職率に差がみられます。特に従業員数が4人以下の小規模事業所では離職率が19.6%と最も高く、次いで5〜9人規模の事業所が14.5%、10〜19人規模が13.5%となっています。
全体として、事業規模が大きくなるにつれて離職率が低くなる傾向が見られますが、少人数の職場では1名の離職が離職率に大きく影響を及ぼしやすいため、この点には注意が必要です。
出典:公益財団法人 介護労働安定センター「介護労働実態調査」(2024年10月30日)および厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概要」(2024年10月30日)
4. 離職率が高い介護職場の特徴
介護業界では、職場環境や働き方の違いによって、離職率に大きな差が生まれます。せっかく転職しても、すぐに辞めたくなるような職場を選んでしまっては、本末転倒です。離職率の高い職場には、共通する特徴や傾向が存在するため、事前に見極めることが非常に重要です。
ここでは、離職率が高いとされる介護職場に見られる具体的な特徴を項目ごとに解説します。転職活動中の方やこれから介護業界で働きたいと考えている方にとって、ミスマッチを防ぐための判断材料として、ぜひ参考にしてください。
常に求人が出ている
求人情報を継続的に出している施設は、離職者が後を絶たない、つまり定着率が低い職場である可能性があります。職員のバランスが偏っていたり、新人ばかりで現場全体のスキルが安定していなかったりと、働きづらい環境が背景にあるケースも考えられます。
施設に清潔感がない
施設内の清掃が行き届いていない様子が見られる場合、人手が足りていない、あるいは衛生管理が十分でない可能性があります。悪臭が漂っていたり、共有スペースが汚れていたりするような環境では、実際に働くとストレスがたまりやすく、早期離職につながることも少なくありません。
教育・研修・フォロー体制が不十分
新人職員に対する教育やフォローの仕組みが整備されていない職場では、特に未経験者が早期に離職してしまうリスクが高まります。基礎的な知識や業務手順を学ぶ機会が乏しいと、不安やストレスが蓄積されやすく、職場に馴染む前に退職という選択をするケースもあります。
人手不足で業務負担が過剰
人材が不足している職場では、一人あたりに課される業務が多く、勤務時間も長くなりがちです。その結果、私生活とのバランスが取りづらくなり、離職に至るケースが少なくありません。さらに、業務負担の偏りから職場内の雰囲気が悪化し、人間関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
給与・待遇・福利厚生が見合っていない
業務の負担に対して収入や待遇が釣り合っていないと、仕事へのモチベーションが保ちにくくなり、離職の引き金になるケースがあります。たとえば、責任ある業務を任されているにもかかわらず給与水準が低かったり、手当や休暇制度が不十分だったりすると、「もっと条件の良い環境に移りたい」と感じるのは自然なことです。
人間関係や職場の雰囲気が悪い
介護現場において、離職の大きな要因となるのが「人間関係のトラブル」や「ギスギスした職場環境」です。業務のストレスに加えて、人との関わりがうまくいかない環境では、長く働くことが難しくなってしまいます。
ICT導入や業務効率化が遅れている
介護現場においては、ICTの活用や介護ロボットの導入が、職員の業務負担を軽減し、効率化を図る手段として注目されています。実際に、こうした機器を積極的に取り入れている施設では、身体的・精神的な負荷の軽減に効果が出ているケースも少なくありません。
5. 長く働ける介護職場の見極めポイント
介護職で長く働き続けるためには、職場選びの段階でさまざまなポイントを見極めることが重要です。求人情報の内容から現場の雰囲気、勤務条件やキャリア支援の有無まで、総合的にチェックすることで、離職リスクを減らし、安心して働ける職場を見つけやすくなります。ここでは、特に注目すべきポイントを詳しく解説していきます。
求人内容に違和感がないかチェック
転職先を見極めるうえで、求人情報に不自然な点がないかどうかの確認は欠かせません。たとえば、次のような特徴が見られる求人は、離職率が高めの職場である可能性があるため、慎重に検討する必要があります。
- 長期間にわたって求人が掲載されている
- 給与・休日・勤務時間などの詳細が曖昧または未記載
- 採用予定人数が極端に多い
- 同業他社と比べて、給与条件が不自然に高い
継続的に求人が出ている職場は、スタッフの定着に課題を抱えている場合があります。また、募集要項に勤務条件がしっかり明記されていないと、実際に働き始めてから「思っていた職場と違う」と感じてしまうリスクもあります。
採用人数の多さは、新設施設や人員増強を目的とした採用であれば問題ありませんが、そうでない場合は離職者が多い裏返しの可能性も否定できません。さらに、極端に高い給与条件には何らかの理由があるはずなので、「なぜこの条件なのか」を自分なりに確認しておくことが大切です。
職場の雰囲気・清潔感を現場で確認する
介護の仕事において、働きやすさを大きく左右するのが人間関係や現場の空気感です。こうした職場の雰囲気は、自分ひとりの努力で変えることが難しいため、入職前に実際の現場を見て判断することが重要です。
応募の段階では、可能であれば職場見学の機会を設けてもらいましょう。その際は、スタッフ同士のやりとりの様子や表情、リーダーや管理職の態度などを注意深く観察することで、その職場がどのような環境かをある程度つかむことができます。
また、施設全体が清潔に保たれているかも重要なチェックポイントです。整理整頓が行き届いているか、嫌なにおいがしないかといった点からも、職場としての基本的な配慮がなされているかどうかを感じ取ることができます。実際の雰囲気に触れて判断することが、長く働ける職場を見つける第一歩となるでしょう。
柔軟なシフト対応・休暇取得のしやすさ
「令和5年度介護労働実態調査」によれば、職員の早期離職を防ぎ、定着率を高めるために最も効果的な対策として、「労働時間や勤務日数を本人の希望に応じて柔軟に調整すること」が挙げられています。
自分のライフスタイルに合ったシフトで働ける環境があれば、無理なく長期間勤務しやすくなります。特に、子育てや家族の介護など、プライベートとの両立を希望する場合は、応募前に勤務日数や時間帯の条件をしっかり確認しておくことが重要です。
「シフト応相談」と記載されている求人であれば、自分の希望する働き方について相談・調整が可能な場合が多いので、積極的に希望を伝えてみると良いでしょう。
キャリアアップ・資格支援制度の有無
「令和5年度介護労働実態調査」では、早期離職の防止や職員の定着を促す上で最も効果的な取り組みとして、「労働時間や勤務日を本人の希望に合わせて柔軟に調整すること」が挙げられています。
ライフスタイルに合わせてシフト調整ができる職場は、無理なく長期間勤務しやすい環境と言えるでしょう。特に子育てや家族の介護など、プライベートとの両立を重視する方は、応募先の勤務日数や時間帯をしっかり確認することが大切です。
また、「シフト応相談」と記載された求人であれば、希望する勤務時間を伝えて調整してもらえる可能性が高いため、積極的に相談してみるのがおすすめです。
6. まとめ|離職率の数字に惑わされず、自分に合う職場を見極めよう
- 介護職の離職率は近年低下傾向にあり、2023年度は**13.1%**と過去最低水準。
- 全産業平均よりも低い離職率で、「介護職=離職率が高い」というイメージは事実と異なる面がある。
- 離職率の改善要因には、人間関係の改善や勤務条件の見直し、給与の引き上げなどがある。
- 離職率は年齢・性別・施設形態・法人種別・事業規模によって差がある。
- 離職率が高い職場には、求人が常に出ている、清潔感がない、教育体制が不十分などの共通点がある。
- 長く働ける職場を見極めるには、現場見学や柔軟なシフト対応、キャリア支援の有無などを確認することが大切。
介護職の離職率は一般的なイメージとは異なり、全産業平均よりも低い傾向にあります。働きやすい職場づくりの取り組みが進んでおり、離職率も年々改善されています。数字だけに惑わされず、職場の環境や支援体制など、自分に合った働きやすい職場を見極めることが大切です。